7月 132010
 

先週7月6日に最高裁で一つの大きな判決が出ました。

判決の内容は保険金が年金形式で分割払いされる生命保険を受け取った遺族に対し、相続税と所得税を課税することが認められるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁は二重課税に当たり違法との初判断を示しました。

判決理由で「相続税の対象となる年金受給権と、毎年の年金のうち運用益を除いた元本部分は、経済的価値が同一」と指摘して、「今回問題となった1年目の年金は、全額が元本に当たる」と判断した上で、同一資産への二重課税を禁じた所得税法に基づき非課税とすべきだと結論付けました。

私はまずこの訴えを起こした原告の方の大きな勇気を讃えたいと思います。国家権力に逆らって戦い続け勝利を収めるまでの過程は艱難辛苦の道であったと思います。

同様に国家権力と戦い勝利を収めた飯塚毅先生を創始者にもち、その飯塚事件を知る私たちTKC全国会会員税理士にとっては、その戦いが如何に苛烈なものであったかは容易に推し量れるところです。

次に私は、条文を読めば不合理であるとの素直な疑念が生ずる税務当局の見解を、税務当局内の行政執行に係る指示文書である「通達」の記載を理由に、そのほとんどの思考を停止して疑問の喚起も提言もせずに三十数年間に亘り放置してきた事に、TKC会員税理士のみならず、我が国の税理士全員は改めて反省をすべきであると思います。

通達とは、「上級行政庁が下級行政庁に対し、細目的な職務事項や法律の解釈・判断の具体的指針を示し、行政上の処理の統一を期するために文書をもって発する指示通達(三省堂 大辞林)」であり、本来国民を拘束する法令では無いはずです。

もちろん実際の経済活動のなかでは、理論通りには事が運ばない場合や、下手に争わない方が無難な場合が多々あるのも確かです。

しかし、少なくとも私たち職業会計人は、「通達にこう書いてある」という事を金科玉条の如く押し立てて自らの思考停止を正当化する態度は慎まなければならない事を、そしてその思考停止は自らの職業的な死を意味する事を改めて胸に刻みたいと思います。

 

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税理士・公認会計士 原科 立郎
http://www.yokohama-sogo.com/


5月 012010
 

以前「自助論」(サミュエル・スマイルズ)という本を読みました。この本は1858年という、何と私が生まれるちょうど100年前に出版されたそうで、日本では「西国立志論」と題して明治4年に出版され、福沢諭吉の「学問のすすめ」と共に明治の青年たちに広く読まれたそうです。「天は自ら助くる者を助く」という独立自尊のスローガンが当時の若者達を奮い立たせたようです。

私のスタッフ紹介のページにも書いてあるように私はこの言葉が昔から好きで、「座右の銘」という訳でもないんですが、自分にも言い聞かせ、また一つの判断基準にもなっています。

この本は、過去の様々な偉人の事例を挙げて、倦まず弛まず継続的に努力することの大切さが綿々と書き綴られているのですが、作者の文章力のせいで読む者を飽きさせずグイグイと引き込んで行きます。翻訳をされた方の力量もあると思いますが、それだけの古い本であることを感じさせません。(私が読んだのは、竹内均訳、三笠書房版)

私のような一発勝負型の人間には、なかなか倦まず弛まずに継続的に努力するなんてことは難しく、ネオンに灯が燈る頃合いになればついついジョッキに、グラスに手が伸びてしまう訳ですが、この本はそれではいけないんだということを思い出させてくれます。

TKC全国会初代会長の飯塚毅先生は、夜寝る前に寝酒を飲みながらもドイツ語の原書を読んで勉強されたそうです。

自助論を読み、飯塚先生の薫陶を受け、それでも凡人の私は今日も晩酌をしながら下らないテレビを見て、大口を開けて寝るのでした。

 

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